名づけラボ 名前を採点する

業種別の名づけ方:会社名・屋号・飲食店・アプリ・美容室・商品名

良い名前の条件(言える・覚えられる・使える)は業種を問わず同じですが、どれを重く見るかは業種で変わります。名前が使われる場面(電話・看板・アプリストア・売り場の棚)を思い浮かべると、優先順位が決まります。

業種名前が使われる主な場面特に重視すること商標の区分の目安
会社名(商号)登記、契約書、名刺、採用事業が広がっても合う広さ、読みが1つに決まること事業の内容による
屋号(個人事業)開業届、請求書、口座名義事業の内容が伝わること、聞いて書けること事業の内容による
飲食店・カフェ口コミ、電話予約、看板、地図検索聞いて綴れること、近くに同じ名前の店がないこと第43類(持ち帰りの食品は第30類など)
アプリ・Webサービスアプリストア、通知、SNS短さ、検索で埋もれない独自性、ドメインとIDの空き第9類・第42類(広告やマッチングを伴えば第35類)
美容室・サロン予約サイト、看板、口コミ雰囲気に合う音、読み間違えない表記第44類
商品名(食品・化粧品など)売り場の棚、パッケージ、通販の検索棚で見分けられる独自性、便益の示唆、表示のルール化粧品は第3類、菓子・パン・コーヒーは第30類、加工食品は第29類、飲料は第32類など

区分は目安です。実際には、扱う商品・サービスの具体的な内容で決まります。調べ方は商標の簡易チェックのやり方をご覧ください。

会社名(商号)

  • 登記するときは、「株式会社」「合同会社」など会社の種類を、名前の前か後ろに入れる必要があります。
  • 使える文字は、漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字(大文字・小文字)・アラビア数字と、一部の記号(& ’ , ‐ . ・)です。記号は語と語を区切るためだけに使え、名前の先頭や末尾には置けません(省略を表す「.」は末尾に使えます)。
  • 同じ所在地に同じ商号の会社がなければ、同じ名前でも登記はできます。ただし、登記できることと、商標の面で安全に使えることは別の話です。
  • 最初の商品名をそのまま社名にすると、事業を広げたときに窮屈になりがちです。10年後の事業にも合うかを考えましょう。
  • 英語の表記も同時に決め、ドメインやSNSのアカウント名とそろえておくと、あとで揺れません。

屋号(個人事業)

  • 開業届には屋号を書く欄があります(空欄でも届け出はできます)。金融機関によっては、屋号の入った口座を作れます。
  • 請求書・領収書・名刺に載るので、電話で伝えても相手が書ける名前にしましょう(採点基準の「聞いて綴れるか」)。
  • 将来、法人にしたときに社名として引き継げるかも考えておくと安心です。
  • 屋号でも、他人の登録商標と同じ・似た名前で同じ分野の事業をすると、問題になることがあります。

飲食店・カフェ

  • 電話予約や「あの店、なんて名前だっけ」という口コミで伝わるかが大切です。短く、聞いて綴れる名前が有利です。
  • 地図アプリで検索されることが多いので、近くに同じ名前や似た名前の店がないかを地図で確かめましょう。
  • 外国人のお客さんが多い地域なら、ローマ字の表記が読み違えられないかも確認します(ローマ字にするときの注意)。
  • 看板は遠くから見られます。文字数が多い名前は、看板で小さくなりがちです。

アプリ・Webサービス

  • アプリストアやホーム画面では、長い名前は途中で省略されることがあります。短い名前にするか、大切な部分を前に置きましょう。
  • 一般的な単語だけの名前は、ストアや検索結果で埋もれやすくなります。業界でありふれていない要素を1つ入れると見つけてもらいやすくなります。
  • ドメインとSNSのアカウント名が取れるかを、候補の段階で確かめておきます。
  • 世界で使うなら、海外でも通じる名前の条件を満たすかも確認しましょう。

美容室・サロン

  • 空間の雰囲気と名前の響きを合わせると印象がそろいます。柔らかい雰囲気なら m・n・l や o・u、すっきり洗練された雰囲気なら k・t や i・e の音が合います(音のイメージで選ぶ)。
  • フランス語やイタリア語の単語を使う場合は、綴りを見た日本のお客さんが正しく読めるかを確かめましょう。
  • 予約サイトでは、花や色の名前など同じ単語を使った店が多く並びます。組み合わせで独自性を出す工夫が有効です。

商品名(食品・化粧品など)

  • 売り場の棚や通販の検索結果で、同じカテゴリーの商品と並んだときに見分けられるか(独自性)が重要です。
  • 便益をほのめかす名前は覚えられやすい一方、化粧品や健康食品では、医薬品のような効き目を思わせる名前が法律(医薬品医療機器等法や景品表示法)の問題になることがあります。
  • 海外でも売るなら、現地の言葉で不適切な意味にならないかを必ず確認しましょう。

名前が決まったら

看板、アプリのアイコン、パッケージ、名刺など、どの業種でも名前はロゴと一緒に目に入ります。ロゴの形や色を名前の音のイメージとそろえると、印象が一貫して覚えてもらいやすくなります。

参考文献

  • Keller, K. L., Heckler, S. E., & Houston, M. J. (1998). The effects of brand name suggestiveness on advertising recall. Journal of Marketing, 62(1), 48–57.
  • von Restorff, H. (1933). Über die Wirkung von Bereichsbildungen im Spurenfeld. Psychologische Forschung, 18, 299–342.
  • Baddeley, A. D., Thomson, N., & Buchanan, M. (1975). Word length and the structure of short-term memory. Journal of Verbal Learning and Verbal Behavior, 14(6), 575–589.
  • Glushko, R. J. (1979). The organization and activation of orthographic knowledge in reading aloud. Journal of Experimental Psychology: Human Perception and Performance, 5(4), 674–691.

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