音のイメージ(音象徴)で名前を選ぶ
丸い図形とギザギザの図形のどちらが「ブーバ」でどちらが「キキ」かと聞かれると、多くの人が丸いほうをブーバと答えます。この「ブーバ/キキ効果」は、文字体系の異なる25言語の話者でも確かめられています。音そのものが持つ印象を音象徴と呼び、名前の印象づくりに使えます。
母音の印象
| 母音 | 印象 | 向いている名前 |
|---|---|---|
| i・e(前舌母音) | 小さい・軽い・鋭い・明るい・速い | 軽快なアプリ、精密さを売る製品 |
| a | 大きい・開放的 | 存在感を出したいブランド |
| o・u(後舌母音) | 大きい・重い・丸い・深い・ゆったり | 高級感、安心感、濃厚さ(例: アイスクリーム) |
商品名の母音を変えるだけで、アイスクリームの「濃厚さ」の評価が変わったという実験もあります(後舌母音のほうが濃厚に感じられる)。
子音の印象
| 子音 | 印象 |
|---|---|
| k・t・p(無声の破裂音) | 鋭い・硬い・小さい |
| s・f・sh(摩擦音) | 速い・軽い・なめらか |
| b・d・g(有声の破裂音、濁音) | 大きい・重い・力強い |
| m・n・l(鼻音・流音) | 丸い・柔らかい・親しみ |
日本語では、ポケモンの名前に濁音が多いほど、大きく重く強いキャラクターになる傾向も報告されています(研究段階の知見)。
名前ごとの音のイメージ(-2〜+2)
| 名前 | 小さい↔大きい | 丸い・柔らかい↔鋭い・硬い | 軽快・速い↔重厚・ゆったり | 落ち着いた・深い↔明るい・澄んだ |
|---|---|---|---|---|
| Kiki | -1.6 | +2 | -1.4 | +1.6 |
| Takete | -0.3 | +1.4 | -0.6 | +1 |
| Bouba | +2 | -1.5 | +1.3 | -0.8 |
| Maluma | +1.2 | -1.6 | +0.6 | -0.2 |
| Lumora | +1 | -1.4 | +0.6 | -0.6 |
| Zentrix | -0.5 | +0.7 | -0.8 | +0.6 |
使い方
- 名前で伝えたい印象を、大きさ・形・重さ・明るさの4軸で決める(例: 小さく軽く鋭い)。
- 母音から調整する。もっとも手軽で、意味を保ったまま印象を動かせます。
- 次に語頭の子音を調整する。語頭の音は印象に強く残ります。
- 発音しやすさとのバランスを確かめる。珍しい音で印象を作ると、海外で崩れやすくなります。
名づけラボの「目指す音のイメージ」に狙いを設定すると、名前の音の印象との差を採点し、狙いに近づく推敲案を出します。
参考文献
- Sapir, E. (1929). A study in phonetic symbolism. Journal of Experimental Psychology, 12(3), 225–239.
- Klink, R. R. (2000). Creating brand names with meaning: The use of sound symbolism. Marketing Letters, 11(1), 5–20.
- Yorkston, E., & Menon, G. (2004). A sound idea: Phonetic effects of brand names on consumer judgments. Journal of Consumer Research, 31(1), 43–51.
- Lowrey, T. M., & Shrum, L. J. (2007). Phonetic symbolism and brand name preference. Journal of Consumer Research, 34(3), 406–414.
- Ćwiek, A., et al. (2022). The bouba/kiki effect is robust across cultures and writing systems. Philosophical Transactions of the Royal Society B, 377(1841), 20200390.
- Kawahara, S., Noto, A., & Kumagai, G. (2018). Sound symbolic patterns in Pokémon names. Phonetica, 75(3), 219–244.